私たち人間という生き物は、様々なシチュエーションで汗をかきます。
ただ、暑い時だけ汗をかくわけではない。
例えば、ある日のこと・・・
ガフッ!!!! やっちまった・・・・・
このように強い痛みを感じた時にも嫌な汗が出た経験がないだろうか。
脂汗がダラダラと額や鼻の頭に吹き出てくる嫌~な感触。
みるみるうちに、汗は一つの大粒になってしたたり落ちる。
あなたも何とも耐え難い痛みに襲われた時、こんな汗をかいたことはあるでしょう。
これ、何という汗ですか?
そう、脂汗ですね。
ところで、脂汗と冷や汗って何が違うんでしょうか。
はっきりと説明できます?
脂汗と冷や汗の違いを辞書で比べてみよう
よくある国語辞典で意味を拾ってみよう。
すると次のように解説されております。
脂汗:じっとりとにじみ出る汗。特に、緊張しているとき、苦しいときなどに出る汗。
冷や汗:ひどく恥ずかしかったり、恐ろしかったりしたときなどに出る汗。
どうでしょう?
要するに、汗をかくシチュエーションによって言葉の使い分けをしているようですね。
でも、単純に言葉の使い分けで済むわけではなく、あくまでも言葉としての使い分けを国語辞典は示しているだけです。
実はそれぞれに、異なった医学的メカニズムが働いているのです。
脂汗と冷や汗が出る仕組み
脂汗と呼ばれる汗が出る体の部位は皮脂腺が多く分布されているところになります。
- おでこ
- 鼻の頭
- あご
- 頭皮
- わき
こういったところですね。
私たちの全身には汗腺が分布していて、その多くがエクリン腺と呼ばれるもの。
一方で、皮脂腺が多いところにはアポクリン腺も存在します。
エクリン線からの汗はサラサラとしていて、ほとんどが水です。
一方、アポクリン腺からの汗には皮脂腺からの分泌物を含むためベタつきがあります。
脂汗と呼ばれる汗は、ほとんどがアポクリン腺から分泌される汗なのです。
思春期の頃になると、顔が脂ぎった感じになりやすいとか、髪の毛がベタベタになりやすくなるのは皮脂腺からの分泌物が増えるためです。
これが意味するのは、アポクリン腺を刺激する神経はホルモンなどの内分泌機能を調整する神経系の影響を大きく受けているということです。
通常、汗というのは自律神経の1つである交感神経が刺激されることで発汗を促すと言われています。
辛いものを食べたり、運動をしたりすると汗が出るのも交感神経が活発になるからです。
でも、脂汗のように強い痛みとか、強烈な緊張で出る汗は交感神経よりもむしろ内分泌系をコントロールしている神経の影響を強く受けており、だからこそ、脂汗が出ると熱が出たり下痢になったりするのです。
つまり、脂汗は体調不良を知らせてくれるサインでもあるんです。
脂汗に対して冷や汗は、車にはねられそうになった!崖から落ちそうになった!
というような危機一髪みたいな時にゾワッと鳥肌がたって出る汗です。
医学的には精神性発汗と呼びます。
精神性発汗では交感神経が働くことで起こり、この時にはエクリン腺とアポクリン腺から汗が分泌されますが、冷や汗の場合はエクリン線からの分泌が多いのが特徴です。
暑い時にかく温熱性発汗、辛いものを食べた時に出る味覚性発汗もエクリン線から分泌される汗。
エクリン腺から分泌される汗は99%が水分なので、非常に蒸発しやすいです。
そのため、冷や汗をかくとすぐに汗が乾いて寒くなることがあります。
汗にも違いがあるということです。
以上、脂汗と冷や汗の違い分かりましたか?
2つの汗は分泌される汗腺が違うということです。